厳冬の八ヶ岳 驚きの冬山登山?(後編)

前夜の暖房の残る暖かな山小屋で起床したのが5時前。赤岳登頂への装備の用意をしながら6時の朝食を待ちました。氷点下のテントでの登山用コンロで沸かした朝のコーヒーや紅茶、朝食も良いものですが、暖かな山小屋での朝食は格別です・・・ほとんど観光気分?厳しい“雪と岩の世界”に挑むアルピニストの意気込みは・・・と自問。
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南八ヶ岳の主峰・赤岳(2899m)は、「酸化鉄による赤褐色の岩肌に由来し、朝夕の斜陽を浴びてまさに赤く染まる姿が美しい」(ヤマケイ アルペンガイド八ヶ岳)と紹介されています。白銀の赤岳が夕陽に染まる姿も本当に魅力的。

画像2日目の1月16日の赤岳への登山ルート。
登りは、赤岳鉱泉小屋~中山乗越~行者小屋~地蔵尾根~稜線・赤岳展望小屋~赤岳山頂。
予定では、3時間で山頂に。
下りは、赤岳山頂~文三郎道~行者小屋~中山乗越~赤岳鉱泉小屋というルートで予定時間は2時間。

赤岳鉱泉小屋に戻るのは、お昼ごろ12時すぎか? 
体力や撮影時間も考え余裕のコースタイム。

さらに今回、年齢と体力を考え軽量化を図りました。
画像軽量化へは、▽軽ピッケル。▽軽アイゼン。地元の茅野の登山用品店のアドバイスもあり前日に購入した新型の軽アイゼン。
▽軽量化のザック。中身は軽羽毛服、行動食、緊急医療セット・・・等。ザックの重量は9.4kg。
▽そして新たな登山靴。「比較的軽く暖かい」・・・との新宿の登山用品店の薦めで、何十年ぶりに購入。
一抹の不安は、軽アイゼン。
昨日、中山乗越の往復に軽アイゼンを使用。雪や凍った斜面で余計な力をかけず軽やかに歩ける・・・これが尾根上部では?念の為10本爪のアイゼンもザックに入れました。

赤岳鉱泉小屋を7時35分に出発。予定より30分以上の遅くの出発となりました。
快適に雪を踏みしめながら中山乗越を超え行者小屋に。

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8時10分ごろ行者小屋の手前、左にある地蔵尾根の登山ルートに入りました。
行者小屋から稜線までの高度差は約350m。前半の森林帯は登るほど傾斜も強まったものの軽アイゼンで軽やかに登れました。
森林限界を近くになるとクサリ場やハシゴが出現。「こんな所にハシゴあったけ?」と独り言。
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これまで冬の八ヶ岳の山行では、クサリやハシゴがほとんど雪に覆われた状態で、クサリ場などの急斜面では巻くようにアイゼンとピッケルを使用し雪壁を登りました。今回は軽アイゼンでしっかりとハシゴを登りました。
しかし問題が発生!!
稜線に近づくにしたがって軽アイゼンの爪が雪を捉えなくなってきたのです。
軽アイゼンの爪は僅か1cmぐらい。これでは上部の雪面を安全に登れるか?と若干の不安が・・・。
軽アイゼンの爪がしっかり雪を掴まない中、バランスが崩れる状態で、やっとのこと稜線に着きました。

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小さな地蔵尊がある地蔵ノ頭。大同心などの横岳や硫黄岳までの稜線がくっきりと一望できました。驚くほど風も吹いていませんでした。
反対側には、富士山や南アルプスの山々も穏やかな姿を見せていました。
稜線上を少し行くと赤岳展望荘。
画像(写真はネット上から赤岳展望荘)
時刻は9時45分ぐらいか。そこで軽アイゼンを諦め10本爪アイゼンに変える事にしました。
ついでにアイゼンを外したので展望荘に初めて入りました。小屋番の2人の男性がノートパソコンをしている姿に時代を感じました。
お茶をいただき私の誕生日祝い用に持参した“お頭つきの鯛”を食べました。もちろんタイ焼きですが、凍っていない!!
標高2720mの赤岳展望荘の気温情報では、最低気温は-15℃。最高気温は-5℃とありました。

山小屋から外に出ても暖かい!!
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富士山がクッキリと姿を見せていましたが、雪は頂上部にうすらとあるだけ。やはり風も無さそう。

10本爪アイゼンを付けはじめました。ここで思わぬ時間が経過・・・赤岳鉱泉小屋でもスパッツの装着に時間を取られました。今回もアイゼンの装着に時間がかかった原因は?
実は、昨年の暮れ新しい登山靴を購入したのです。
これが依然の登山靴にくらべ一回り大きい。これがスパッツやアイゼンの装着に影響したのです。赤岳鉱泉出発から1時間以上の遅れとなりました。

ともあれ気分を変えて、10時50分ぐらいに富士山を左に見ながら赤岳山頂に向かいました。
画像かって富士山頂の測候所の観測気温が-30℃を超えるのが厳冬期の普通のようだったような気がします。
気象庁が発表する天気図には西高東低の気圧配置。
山に入る3日前ぐらいから気象通報を聞き天気図を書いたものです。
当時、この赤岳に向かう稜線は、西高東低の厳冬期には常に強い偏西風が吹いていました。

厳冬の赤岳登頂の最後の稜線登りには、いつでもピッケルを支えに耐風姿勢を取れるように気を引き締めて登るのが普通の登山の姿だったのです。

しかし今回は、驚くような無風・快晴。
しかも-5℃ぐらいの気温。
浅い雪の瓦礫の斜面に10本爪アイゼンを効かせながらゆっくりと登りました。

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11時35分、赤岳山頂(北峰)に到着。やはり年齢を実感。
山頂には入れ替え立ち代わり登山者が上ってきました。
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南アルプス、中央アルプス、北アルプスの山々が見えました。
多くの登山者もゆっくりと360度の展望を堪能しているようでした。
「これ厳冬の赤岳登山と言っていいのかなあ~?」と独り言。

下りは文三郎道の分岐点までは岩場。やはり雪が少ない。
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急斜面の岩稜帯の岩や雪にアイゼンを置きながら慎重に下りました。

文三郎道との分岐点で阿弥陀岳を撮影。
画像阿弥陀岳も驚くほど雪が少ない。

実は私、10年ぐらい前の1月15日ごろに、この場所から阿弥陀岳を撮影しました。(※約40年前にも撮影)
真っ白な雪の覆われた阿弥陀岳。
青空の下、その凛とした急俊な山の姿ととても魅力的でした。
今回も済みきった青空の下、真っ白な阿弥陀岳。
その凛とした阿弥陀岳をデジタルカメラで撮るのが大きな目的だったのですが・・・残念。

もちろん雪が降れば一晩で変わりますが・・・温暖化の影響がハッキリと見てとれます。
(※「ハチドリのエコレポート」で“温暖化と冬山”もテーマにしています。
「温暖化を冬山2237mから考える」→ http://blogs.yahoo.co.jp/sirakabaman/14459041.html
また今回の赤岳山行と温暖化、高齢者登山・・・テーマにもしたものも近日中に掲載しますので、ご覧ください。

下の写真の赤岳は、前日に撮影したもの赤岳西壁。
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右側に今回の下りルートの文三郎道が見えます。
赤岳の西面の文三郎道の下りに入り、鉄階段や急な斜面を10本爪のアイゼンを効かせ行者小屋へ向かいました。
行者小屋から中山乗越を経て、右手の林越しに横岳大同心や小同心を見ながら赤岳鉱泉小屋に向かいました。
13時30分過ぎ予定を1時間以上も遅くれて赤岳鉱泉に到着。
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小屋前で冬山装備を外しているとテントや登山者の多さに気付きました。
16日の赤岳鉱泉小屋宿泊者は250人超と昨夜、聞いた事を思い出しました。
カラフルなウェアを着た若い男女。しかも中国語。台湾からの登山者と思われる若者たちの会話が聞こえてくるのです。本当に驚き!!
ここまで国際化の波が・・・うれしくもあり・・・安全な登山は?大丈夫などと心配も。
そんな赤岳鉱泉の喧噪から離れ、静かな下山ルートを歩きはじめました。
画像登りの時も感じたのですが、下りも北沢の登山道がよく整備されているので助かりました。
しかしアイゼンの爪痕が木の橋や木道の付いているが気になりました。
昔と言っても10年前までは、これほどのアイゼンの爪痕はなかったと思うのです。
今も冬山を目指す多くの登山者は、赤岳鉱泉小屋の往復はノンアイゼンが普通。
時代は変わったものです。
しかし登山道の修復費用は誰が負担するのだろうか?・・・など考えながら、堰堤広場に到着。

あとは林道を・・・と気楽に思っていたのですが、この林道の下りが長く感じました。
さらに美濃戸から美濃戸口へ。
筋肉痛の重い足で夕陽の林道を一人歩きました。
「バスに乗り遅れないように走り下った若き日が懐かしい」65歳のタワゴトです。
1時間近くかって夕闇が近づく美濃戸口へ着きました。到着時刻は17時を回っていました。予定を2時間以上も遅れました。
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今回の厳冬期の八ヶ岳山行は、ともかく驚く程、天候に恵まれていました。

そんな中での反省点は、▽山に合った装備 ▽装備装着は確実に速く ▽速い登山は安全 ▽やはり体力不足・・・等々が浮かんできました。歳相応な身の丈に合った登山の必要を改めて感じました。
車に戻るとラジオから「明日の夕方から長野県内も大雪のおそれが・・・」という気象予報が聞こえてきました。
記:2016.1.21
前編の「厳冬の八ヶ岳 驚きの冬山登山?」は→ http://64407620.at.webry.info/201601/article_1.html

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  • 厳冬の八ヶ岳 驚きの冬山登山?(前編)

    Excerpt: 厳冬の南八ヶ岳に久しぶりに1月15日から行ってきました。雪が少ない。暖かい。稜線上でも風が弱い。山小屋が変わった。アプローチの林道も変わった。登山者も変わってきているような・・・さまざまな変化に驚く事.. Weblog: 八ヶ岳ファンタジー racked: 2016-01-29 23:40