「マスク値崩れ」と「貧の意地」


<マスクが値崩れ>
今年の2月ごろからマスク不足が社会問題になっていました。
マスク不足 長蛇列.jpg
ドラッグストアなどに早朝からマスクを買い求める長い列。それが5月に入りマスクを売る店を多く見るようになりました。しかも路上販売のマスクには50枚3500円(税別)とあった値段が、翌日には3000円に・・・このマスクの値崩れはどうなっているのでしょうか?
今回のコロナ騒動での小池都知事発言「ロックダウン」「東京アラート」「買い物は3日に1回」にみられるように高齢者など社会的弱者への配慮が欠けている政治家たち。コロナ騒動で筆者も含め多くの人が他人への気遣いが忘れていたような気がします。

<「貧の意地」>
太宰治の「新釈諸国噺」の一編に「貧の意地」という短編があります。
貧の意地.jpg
内容は、江戸に住む貧しい浪人・原田内助と貧しい浪人7人が集まっての正月の酒盛り話。
実は主人公の原田内助は、大晦日に女房の兄である医者の清庵から貧病の妙薬「金用丸」として小判10両をもらったのです。思わぬ大金です。
浪人・原田内助が叔父からもらった貧病の妙薬「金用丸」小判10両は100万円相当です。ただし改鋳が多くあった江戸時代1両=7~13万ぐらいの変動があったようです。話をもどします。
浪人・原田内助は、近くに住む貧者の浪人7人をよび宴会を開きました。宴もたけなわ「金用丸」の小判を見せたが1両足りない。
一両.jpg
たまたま1両持ち合わせていた浪人に皆の目が向きました。その浪人は潔白の証に腹を切ると言い張ります。止める一同が大騒ぎ!!その時、行燈の下にキラリと光る1両。めでたしめでたしのはずが「あれ~!」と叫び女房が1両を台所から持ってきました。
11両…誰かが切腹騒ぎを納めるために1両を出したのです。
しかし誰も名乗らない。
そこで原田内助は暗い玄関に1両を置きさりげなく持ち主に返した・・・という話。
小説の最後は「原田内助は眠そうな顔をして『(1両の主は誰か)わからん。お酒はもうないか。』と言った。武士はさすがに違うものだと、女房は可憐に緊張して勝手元へ行き、お酒の燗に取り掛かる。」と太宰治は小説「貧の意地」を結びました。
太宰治.png
太宰は浪人でも「武士としての矜持」。そして「江戸の人情と思いやり」を伝えたかったと思うのです。

<「貧の意地」と「江戸しぐさ」>
江戸の町人のエチケットを「江戸しぐさ」と言います。
下の絵は「傘しぐさ」です。狭い道を通る時にさりげなく互いに傘を傾げたり、つぼめたり相手も思いやる行動です。
江戸しぐさ.png
しぐさは「思草」と書きます。
江戸しぐさの研究家・越川禮子さんによれば「思」は思案、思想など。
「草」草花ではなく、行為、行動と解説しています。
そのうえで江戸しぐさは、「共により良く生きる」ために、上に立つ者(政治家、官僚、企業家、先生、先輩、親など)が心得ておらねばならないのです」と述べています。

<マスクが足りない?>
読売新聞(5・12)では、マスクが出回り始めたのを「背景には、中国でマスク生産に参入する企業が急増したことにありそうだ。
マスク不足-1.jpg
中国での供給量が増えた事で、日本に住む多くの中国人が日本への輸出販売に乗り出した」と伝えています。確かにそうゆう面もあると思います。
一方、Newsweek電子版(4月13日)に、こんな記事とデータがありました。
「中国でのコロナウイルスへの感染爆発が1月下旬に起きたが、運悪く旧正月の休暇と重なってしまった。マスク工場も休暇に入っており、1月末の時点でもなおマスク工場の6割が休業していた・・・
(中略)・・・中国の不織布マスク生産能力は1月から3月の間で5倍以上に拡大したが、中国での新型コロナウイルスの流行は3月中旬にはほぼ終息したため、それまでは国内消費に向かっていた中国製のマスクが今後は海外に大量に輸出されることになるだろう」とありました。その後に興味あるデータがありました。
マスク不足図にゆーうず.png
日本の財務省の貿易統計です。
この貿易統計を見るかぎり日本で新型コロナウイルス感染が報道され始めた1月の中国からのマスクの輸入は例年と変わらずというより増えていたのです…という事は誰かが輸入したマスクを倉庫に置き値が上がるのを待っていた?…と考えられなくもないのです。

<江戸時代の商業思想>
「節約・正直・堪忍」を唱えた民間の思想家・石田梅岩が享保14年(1729)に無料で始めた「石門心学」が商人層に支持されました。
石田梅岩 講義.jpg
その主張には「富の主は天下の人々なり」とあったのです。その後も農民や武士、大名にも浸透して行きました。
時は移っても石田梅岩から学ぶ商人が多くいました。パナソニックの創業者・松下幸之助氏もその一人と言われています。
また「三方よし精神」=近江商人と言う「売り手によし、買い手によし、世間によし」という江戸時代の商人の考えがあります。
マスク不足で一儲けを狙って人がいるのであれば、江戸の商人の心粋を知って欲しいものです。

記:2020年5月21日
パートー2は「貧の意地」から「富の意地」へ クリック➡ https://64407620.at.webry.info/202005/article_4.html
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