映像のプロパガンダ戦‐Ⅲ

~噓と噓の激突‐Ⅲ~NHK映像の世紀:「映像のプロパガンダ戦~嘘と嘘の激突」は良く出来た番組でした。番組のテーマは、国家は常に映像を利用した”国家の嘘と嘘の激突”であったと言うものです。番組は複雑な構成でした。そこでテーマ別にした上で、番組をベースに新たな情報も入れて制作しました。
★★映像のプロパガンダ.jfif
今回も近現代史の視点からベトナム戦争や中東、ロシアとウクライナの争いをプロパガンダ戦として考えます。

<ベトナム戦争の悲劇>
第二次世界大戦が終わっても戦争は各地で起こっています。その度に映像のプロパガンダ戦が行われています。
★ベトナム戦争.jpg
ベトナム戦では、米国はプロパガンダ戦に失敗しました。小国の北ベトナムと大国の米国の戦争。米国をはじめ欧州、日本でもベトナム戦争反対の声が上がりました。これにより米国は徹底した報道規制を行うようになりました。

<反戦の動き>
しかし、ベトナム戦争は、TVや新聞で毎日伝えられていました。写真の中には、眼を反らしたくなる残酷な映像が数多くありました。日本人カメラマンの沢田教一は、ベトナム戦争悲劇をテーマにした写真を数多く発表しています。
★安全への逃避.jpg
ピューリッツ賞を受賞した「安全への逃避」です。
当時、ベトナムには多数の報道人が来ていたのです。この多数の報道人を米国はコントロール出来ませんでした。

<反戦へのハリウッドの動き>
米国内では、次第にベトナム戦争反対の声が若者を中心に燃え上がってきました。そんな米国社会を代表する映画ともいえるのが・・・
1989年制作のアメリカ映画「7月4日に生まれて」。監督はオリバー・ストーン。
★7月4日生まれて.jpg
映画の主役・ロン(主演トム・クルーズ)は、ニューヨーク・ヤンキースが好きな普通の少年でした。彼の誕生日である7月4日、アメリカ独立記念日。1960年、ジョン・F・ケネディ大統領の就任式をテレビで見たロンは、自由主義を守るために自己犠牲を尊ぶ演説に強い印象を受けました。ハイスクールで行われた海兵隊のリクルーターによる説明で、周囲の反対を押してアメリカ軍への入隊を決心します。1967年、ベトナム戦争に従軍し、熾烈な戦いの中、誤って乳児を含む民間人を殺す仲間の見たことにショックを受たロンは、さらにベトコンの攻撃を受けて自身も負傷、米国に帰国したものの下半身不随となり身体障害者となりました。国を守る英雄としての賞賛の言葉ではなく、ベトナム帰還兵をゴミ屑のように扱う世間の目は冷たかったのです。1970年、反戦デモにロンも初めて参加し、参加者が弾圧される姿に衝撃を受ける。一転して「間違った戦争だった」と語るようになったロンは、次第に酒浸りの日々を送ることで精神を病み…しばらくの後、ロンは車椅子を操って反戦運動に加わるのです。そんな70年代のアメリカの若者の苦悩を描いた代表的な映画でした。世界中で大ヒットしました。
※YouTubeで予告編の映像を見る事ができます。
https://www.youtube.com/watch?v=4Ih3f-9HFyQ


<フセイン打倒の戦い>
ベトナム戦争も終結しました。しかし世界の紛争はますます複雑になっていきました。
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イラクの独裁者フセイン打倒のニュース映像には、イラク国民の歓喜する姿がありました。
イラン侵攻.JPG
世界に配信され米国の正当性を印象づけました。しかし、映像に米国の演出があると指摘する声もありました。

<ウクラナイとロシア>
プロパガンダ映画「戦艦ポチョムキン」の舞台・オデーサは、激しい戦いの舞台にもなりました。
ウクライナの島.JPG
とくにズミイス島の攻防ではウクライナとロシアのプロパガンダ戦にもなっています。6月30日、島を占拠していたロシア軍が撤退しました。ウクライナ軍は自軍の攻撃でロシア軍が逃げ出したと主張しました。
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国旗を揚げ国民の戦意意欲を高めようとしました。
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一方、ロシアは自主的に撤退したもので、世界への善意のしるしだと主張しているのです。

<高度化するプロパガンダ戦>
高度なデジタル化が進むなかで、映像のプロパガンダ戦も高度化しています。AIで作成したウクライナのゼンスキー大統領の演説があります。
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「武器を置いて家族の元に帰ることを勧めます。この戦争で死ぬ価値はありません。」と語っています。これが“嘘情報”と言うのです。デジタル化が進む中で、Facebook等のSNS(交流サイト)を使ってより狡猾的な“嘘情報”を流し世論工作を図る動きもあります。

<スターリングラードの戦い>
今、ロシアはプーチンの指令で、劣勢のウクライナ侵攻を挽回するために新たな兵士を確保する為の「動員令」を国内全地域で行っています。
★ロシア徴兵反対.jpg
ロシア各地では、この「動員令」の反対活動も行われています。しかしプーチン政権は、徴兵された兵士が戦闘参加を拒否した場合や投降した場合の罰則を引き上げ軍の統制を強化するとしています。この強権的な姿勢は、かつてのソビエト共産党の戦いで、有名になった「スターリングラードの戦い」との類似性があるように私には思えるのです。
★スターリングラードの戦い.jpg
このスターリングラードの戦いでは徴兵された兵士らをドイツ軍に突撃させました。銃を持つのは突撃最前線の兵士らのみ。後に続く兵士には銃を与えていません。つまり前の兵士が倒れたらその銃を取って突撃するのです。さらに突撃隊の後方には、機関銃を配備し逃げ戻る兵士を撃ち殺すのです。そこには強権的な独裁者の姿がありました。スターリングラードの戦いをテーマにした映画は数多くあります。
下記の映画は、ソビエト共産党指揮下の戦いを批判的に描いています。
YouTube「映画・スターリングラード(2001)」https://www.youtube.com/watch?v=1V044U12sVs

<スターリンを激怒させた映画>
独裁者スターリンを激怒させた映画「イワン雷帝」。モンタージュ論を創り「戦艦ポチョムキン」で革命政権の樹立の貢献したエゼシュタインでした。
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“イワン雷帝”の生涯を描いた作品。全3部構成で制作される予定であったが、第1部は時の権力者であるスターリンから高く評価されたものの、第2部はスターリンを暗に批判した内容であったため上映禁止となりました。第3部は完成されませんでした。NHK映像の世紀:「映像のプロパガンダ戦~嘘と嘘の激突番組の最後は、エイゼンシュテインの言葉が流れました。再度引用します。
★エゼンシュタイン.jpg
【映像のモンタージュは巨大な魔術である。それは人々の心に強力な感動を与える唯一の手段だ。だが、ささいなカットの違いには全体の意味を逆転させる力もある。映像には、こうした複雑な可能性が横たわっているのだ。だから我々は過去の経験から学ばねばならない。思考をするどく研ぎ澄ませねればならない。それが我々の未来の利益のために必要な事なのである。】としています。
現在、ロシア大統領のプーチンは、残虐なナチス主義者からウクライナのロシア系住民を守るための反ナチ活動としてウクライナ侵攻を正当と主張しています。しかしロシア軍によって占領されたブチャの民間人虐殺がありました。この悲劇は戦争が人々の理性を奪い、時の権力を正当化する事を世界に知らしめました。映画・ニュースから正しい情報を読み取る「情報リテラシー」が私たちに求められていると思うのです。

記:2022年9月29日
江戸探偵人

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